俺のシンデレラになってくれ!
「初めての男の子だったから、テンション上がったらしいよ。本当、適当でしょ?
だから、篤が1人で好き勝手に遊んでても放任してたんじゃないかな」
「なるほど」
それで篤は、たまたま興味を持った演劇に夢中になって周りが見えなくなって……
あたしがその変なとばっちりを受けてるわけか。
フリーダムさも筋金入りすぎて、凡人のあたしが受け止めるには重すぎる。
「よし! イス起こすね。移動するからついてきて」
「はい」
ついさっきまで目を閉じて、暗い中にいたからか、店内の明るさが目にしみる。
普段は浴びないくらいの照明と、豪華に飾られた店内がくすぐったい。
「シンデレラもこんな気分だったのかな……」
暗い世界から、一気にきらびやかな世界に引っ張り出される、そんな感じ。
本当なら自分がいるはずのない場所に来てそわそわするのに、心のどこかでそれを楽しみに思っちゃう自分がいる、変な感じ。
「シンデレラかぁ。そういえば篤、昔からシンデレラ好きだったわ。女の子は綺麗で可愛くならなきゃいけない。
受け身じゃなくて、自分からそうなろうとする力を持ってないといけない。シンデレラは、その両方を持ってるんだって」
「そうなんですか」