俺のシンデレラになってくれ!
髪の色はそのままで軽くて豪華に。
篤の適当な説明を聞いて、紬さんはあたしの髪にパーマをかけてくれた。
手入れが面倒で何もしなくていいように……なんて理由で伸ばされてたあたしのまっすぐな長い髪は、見事に豪華になったわけだ。
肩の辺りで揺れる、ゆったり、くっきりしたウェーブが、豪華な雰囲気を出してくれてる。
長い間放置してた毛先も、綺麗にカットしてもらって何となく生き生きしてる気がする。
いきなりここに連れてこられた時はどうしようかと思ったし、篤の行動には素直に納得できない部分も多いけど、紬さんが丁寧にあたしの髪と向き合ってくれたことに間違いはないし、今までとは違う雰囲気に少し気分が浮かれてるのも確かだ。
「どういたしまして。これ、特別サービスのワックス。明日からこれで頑張って」
「自分で、ですか……?」
……ワックスなんて、使ったことない。
ブローだって面倒臭くて、いつも適当にまとめて終わりだ。
「自分でやらなくてどうするの。そのままでも十分可愛いけど、これを機会に見た目にも気を遣う習慣をつけなさい!
今はまだよくても、20歳過ぎるとある日突然、自分のすっぴんに抵抗感じるようになるから。それからいろいろ練習しても遅いよー」
「紬、怖いよ」
「うるさいよ、篤」
黙り込む篤なんて珍しい……。
びしっと言い切った紬さんに視線を送りながら、こっそりと頬を緩める。
「それで?篤の用事は何だったの?」