俺のシンデレラになってくれ!
「これじゃ、本当にシンデレラ・コンプレックスになっちゃうじゃん……」
いつの間にか、受け身だけになっていた自分に怖くなる。
あたしはそんな、弱々しい人間じゃないはずだ。
計画的に生活して、勉強して、ちゃんと生活していけるようにならなくちゃいけない。
給料もしっかりもらって、おじいしゃんとおばあちゃんにしっかり恩返しできるような大人にならなくちゃいけない。
それで、年金もがっつりもらってゆったりした老後を……うん。
これが、いつものあたしじゃない。
もらったモノにときめいて何もしないなんて、あたしらしくない。
どうしてそれに、気が付かなかったんだろう……。
篤から受け取った薄いピンクの袋は、相変わらずなスニーカーにズボンのあたしには似合わない。
相変わらずなスニーカーにズボンも、髪型のおかげで少しはマシに見えるけど、きっと完璧じゃないはずだ。
少し窮屈になり始めた電車に揺られながら、あたしはぼーっと、足元を眺めた。