俺のシンデレラになってくれ!

思わず振り返ってそう言うと、雅也は面白そうに肩を揺らした。


篤はといえば、何か考え事をしてるのか、隣でぼーっとしてる。



流れるように落ちた溜息を、わざわざ止めようとも思わない。



……本当、あたしは何やってるんだろう。


受け身だけの自分に嫌気がさして、気持ちを入れ替えようとしたのは昨日の夜だ。


それなのに、平然ともらった服を着て、いつもと変わらないような顔で大きな教室に紛れるあたしは、一体何を考えてるんだろう。


自分のことなのに、ついつい首を傾げたくなる。



「まぁ、いきなり髪も服も篤好みにされたら重いよねー。よく耐えてるなって思うよ、俺は」


「改めて考えてみると、こーゆーの全部タダなんだからお得なバイトよね」


「タダの裏には、篤の下心が満載だけどね」



“下心”


急に手元に入ってきた“モノ”に振り回されて、すっかり忘れてた。
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