俺のシンデレラになってくれ!

「にぎやかな家庭でいいんじゃない?」


「まぁ、とばっちりは全部俺に来るんだけどね。
何だかんだ言って、性別の結束力って強いらしくて。いつも標的は俺。しかも、両親はそれも放置だし」



昔のことを思い出してか、篤が小さく笑った。


そんな小さな変化からでも、神上家があったかい場所なんだってことが伝わってきたような気がしてくすぐったい。



「彼氏の尾行なんてのもしょっちゅうやらされたな、葉には」


「何それ?」



思わず笑ったあたしを見て、篤が楽しそうに話を続けた。



「2、3ヶ月に1回は不安になるんだと。彼氏が浮気してないかどうか。それで、面識ない俺が尾行係。
5人全員で尾行したこともあるけど……あれはもはや、ただの遊びだったな」


「どうして?」


「うるさいんだよ、みんな。あの服装がどうとか、髪型がどうとか。最終的には、尾行してる葉の彼氏の服のセンスにまで口出しはじめて……。
『あんな格好しかできない男となんか別れろ!』って騒ぎだすんだ。めちゃくちゃだろ?」


咲さんと紬さんを思い浮かべて、何となくその様子を想像する。




「紬さんも言ってたけど、本当にそういう話好きなんだね。服のセンスとか、髪型とか」


「まぁ、両親が美容師なんてやってれば自然にそうなるかも。しかも、その頃は咲も紬も専門学校行ってたからなー。
俺だってそーゆーの考えるのは好きだし。それ考えるのも、結構楽しかったしさ」


「それ?」
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