俺のシンデレラになってくれ!

午後7時。


バイトのない日なら、この時間には家にいることが多い。


帰ったらおばあちゃんに何か言われるのかな。


そんなことを考えて、少し不思議な気分になる。



「美砂ってさ、何が楽しい?」


「え?」



急にトーンの落ちた篤の声に、思わず眉間が硬くなった。


“何が楽しい”って……。



言いたいことがわかるような、わからないような、もやもやとした感じが気持ち悪い。



バイト中に店長とくだらない話をするのは楽しい、はずだ。


晴香と笑いながら授業を受けたり、たまに遊んだりするのも楽しい。


こうやって、篤とバカみたいに騒ぐのだって、嫌いじゃない。


だけどきっと、篤が言ってるのはそんな“楽しい”じゃない。



「結でみんなと劇作ってさ。
プロの人達の舞台と違って観客は少ないけど、来てくれた人達に拍手をしてもらえると嬉しいし楽しい。その度にいろんな人と仲良くなれるのも楽しい。
だから大変なこともあるけど、学生でいる間は、結で全力を尽くそうって思ってる」



絶対、そんな“楽しい”じゃない。



「そっか。悪くないかもね、そういうのも」
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