俺のシンデレラになってくれ!
「何か軽いなー。まぁ、その辺は美砂っぽいとも思うけど」
そう言いながら笑う篤を見て、あたしは小さく溜息を吐いた。
何か意図があってなのか、何も考えてないからなのかは相変わらずわからないけど、絶妙な感覚で話を切り上げてくれる篤に感謝する自分がいる。
「それで?シンデレラはもうおしまい? それなら、今日はもう帰るけど」
「あ、そっか! 引き留めてごめん!駅まで送るよ」
当たり前のようにそう言って立ち上がった篤を見上げて、さっきとは違う息を落とす。
膝にかけ直していたマフラーを持ち上げると、一瞬で足がすっと引き締まったような気分になった。
「だから、そんな風に気を遣うような関係じゃないでしょ、あたし達」
「でも美砂、ウチから駅まで行く道覚えてる?」
「あ……」
コートに片腕を通しただけの微妙な格好で固まると、篤がにっこりと笑った。
「だから今日は駅まで送る。だから次のために道は覚えて」
「え、次なんてあるの?」
「ん?それはあれじゃない? 美砂次第」