苦く甘い恋をする。
「あーあ、行っちゃった。
今日こそ一緒に飲みに行こうと狙ってたのにぃ」


「……えぇ? だったら、私を呼ばずにスルーすればよかったじゃん」


カバンを左から右にかけかえ、私は腕時計に視線を落とした。


「だってぇ、美姫も一緒に行きたかったんだもん」


「……は? 何言って……」


愛海の申し出に目を見張る私を、上目遣いで見つめ、愛海はぷーっと頬を膨らませた。


「だって、ふたりっきりだと恥ずかしいじゃん」


「…………。
……えっ!?」
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