苦く甘い恋をする。
私はさっき長谷川くんが結んだコートのベルトの端に手をかけ、それをほどきながらエアコンのボタンを力強く押した。


そう、それも。


「おまえ、そんなにも押して……。いったい何度にするつもりだ?」


長谷川くんがチラリと私に視線を流して、そう呟くくらい。


ふっふーん。
仕返しだもんね!!


鼻息荒く、中央奥の長谷川くんのそばまで行くと、長谷川くんはニヤリと笑った。


「おまえ。負けず嫌いなところとか、俺にそっくり」
< 195 / 388 >

この作品をシェア

pagetop