苦く甘い恋をする。
「や、あの……。
……っていうか、勝手に名前を呼び捨てにしないで欲しいんですけど」


そう、自分でも驚くほど使えない言葉。


それに対して長谷川くんは、


「うわ。すげぇ動揺してる。
……ってことは、マジ!?
おまえ……図星なんだ」


大げさに驚いて、私の斜め上、ふわりと甘い香りを揺らした。


「誰とでも遊ぶ女の鎧を纏ってるクセに、正体は、案外可愛いんだ」


「……っ。もぉ!! 耳元で話さないで!!」


照れ隠しもあって、袖を持たれていない手で耳をこする。
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