苦く甘い恋をする。
長谷川くんは、私の後ろに立ったまま、私の顔を覗き込んだ。


「……え?」


「ほら。よく言うだろ?
好きな女の子ほど、いじめたくなるって。
だから、俺がおまえを嫌っていた理由は……」


長谷川くんは、顎に指をあて、クスリと笑う。


でもその目は完全に、私をからかって楽しんでいるようで。


「……は。……はぁ!?
アンタ、何言って……。
そ……そ……そんなの。
幼稚園児とかの話……でしょ!?」


私は自分でもはっきりとわかるほど赤くなりながら、言い返した。
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