苦く甘い恋をする。
「……へ!?」


肩透かしを食らった気分で、そんなマヌケな声を出した私の頬を、長谷川くんはするりと撫でた。


「もったいなくて、すぐに全部は食べられないな」


「…………」


「だから、残りは、出張の後のお楽しみにとっておこうかな?」


「……は?」


「それに……」


長谷川くんは、ニヤリと目を細め、口元を緩めた。


「ゆっくりゆっくり……。
時間をかけて食べたいし」
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