苦く甘い恋をする。
「不満そうだな。可愛い顔が台無しだ」


「当たり前でしょ!? この程度で私が満足するとでも思ってるの?」


苛立ちを込めて、ヤツのスーツの衿をネクタイごと鷲掴みする。


「気に入らないから、やり直して!!」


握ったスーツの衿をグンと引っ張り、出来るだけヤツと視線を近づけ、荒々しく言い放つ。


するとヤツは、いつも変わらず作り物のように華やかなその笑顔を崩し、目を見張った。


「おまえ……。驚くほど欲望に忠実なんだな」


さっきまでの“キミ”でもなく、会社で呼んでいる“奥脇さん”でもなく、“おまえ”
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