†蝶龍†―2―

そして、紫苑の花が途切れた先にあった一つのドア。


そこだけ雰囲気が違う。威圧感、それに似た何かがある。


だがそれに戸惑うことなく扉を開ける。



入った瞬間に、クラッと来た。


薔薇の香りが充満していた。それに電気が付いていないから真っ暗で、私でさえ中が見えない。

それでも前に進んでいく。


後ろでバタン、とドアが閉まる音がした。


「紫苑?来たわよ」


「俺はここだ」


後ろからいきなり声がして振り返ろうとした。


でもそれよりも早く腕を掴まれ、唇を塞がれた。

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