†蝶龍†―2―

由香利の、声だった。


あげははびくっと肩を震わせた。


「あげは・・・・・あげは・・・」


由香利はあげはを呼び続ける。


あげははその度にビクッと肩を震わせる。




「あ、あああ、あー、出て、きて」




そう言った瞬間、あげはは瞳を閉じ開いた。



・・・・こいつ、誰だ。



あげはじゃない。雰囲気がまるで違う。


こいつは、危険だ。


ぞっとする様な、冷たい雰囲気


その瞳には深く暗い闇が潜んでいる


こいつが、〝あー〟・・・・・




ー紫苑SIDEー


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