†蝶龍†―2―

見惚れていたのも束の間、すぐにギャラリーは騒ぎ出した。

私の左斜め後ろに立つ千尋が

「うるせぇ・・・・黙らせていいか」

と質問してきた。

なんで疑問系じゃないかなのかはいいとして、確かに五月蝿い。

だから私はチラッと千尋を見た。


そして

「黙れ・・・・・・地獄に突き落とすぞ」


地を這うような低い声で呟いた。


一瞬でギャラリーが静まった。


「ヒュー♪さすが千尋、怖い怖い」

「葵、茶化すんじゃないわ。場をわきまえなさい」

「ちぇっ。はーい」

葵と百合は親子みたいね。

「じゃああげは。公表ようか」

「えぇ。よろしく」

そう言ってギャラリーの方へ振り返る。



< 25 / 160 >

この作品をシェア

pagetop