†蝶龍†―2―
見惚れていたのも束の間、すぐにギャラリーは騒ぎ出した。
私の左斜め後ろに立つ千尋が
「うるせぇ・・・・黙らせていいか」
と質問してきた。
なんで疑問系じゃないかなのかはいいとして、確かに五月蝿い。
だから私はチラッと千尋を見た。
そして
「黙れ・・・・・・地獄に突き落とすぞ」
地を這うような低い声で呟いた。
一瞬でギャラリーが静まった。
「ヒュー♪さすが千尋、怖い怖い」
「葵、茶化すんじゃないわ。場をわきまえなさい」
「ちぇっ。はーい」
葵と百合は親子みたいね。
「じゃああげは。公表ようか」
「えぇ。よろしく」
そう言ってギャラリーの方へ振り返る。