†蝶龍†―2―

「姫、大丈夫?」

由樹にそう聞かれハッとした。

私が喧嘩に出るときはあげはとは呼ばない。

姫か総長と呼ぶ。相手に名前を知られたくないから。


「ん、大丈夫だよ。でも由樹、紅蓮やっぱりダメ。潰す。仲間を傷つけた。許さない」


そう操られたように言う私を少し哀しそうに由樹は見ていた。


「そっか・・・・姫がそう言うならそれでいいよ」


そう言ってまた外を向いた。


「あげは、あいつは俺も嫌いだよ。憎い。そのせいであの人が居なくなったんだ。でも、今のあいつは昔のアイツじゃなかったよ。それはあげはも分かってた筈だろ・・・・・?」


由樹がそう私に向かって呟いてたなんて気が付かなかった。

其れほどまでに紅蓮を潰す気持ちでいっぱいだった。



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