†蝶龍†―2―

「龍聖は気付いているのかもしれないね。姉は紅蓮の嫌っている蝶龍の地獄姫だと」


由樹は私の方を見ずにボソッと呟いた。もし、そうだとしたら龍聖は裏切り者になるわ。


紅蓮が蝶龍を嫌っているのは知っている。なのに幹部である龍聖は戦っていない。

下っ端といえど仲間だ。そういう奴は裏切り者と言われ制裁が下される。

もう一回龍聖の方を見るとバチッと目が合った。

その瞬間、目を見開きバッと物置から飛び降りコチラに向かって早歩きで来た。

「見付かっちゃったみたいだね。でも、あっちは気付いてないみたいだよ」

由樹が顎で指す方には紅蓮のトップ達が揃っていた。

「どうでもいいわ。それにしても・・・・龍聖、なぜ戦わない?」

そう龍聖は私の左手を掴んでいる。


「姉さん・・・・なんで、敵なんだ」

「私は紅蓮が嫌い。それだけ。でもよく私だって気付いたわね」

「だって、俺の姉さんだから。誰も分からなくても、俺は分かる。後、奈留も知ったみたいだ」


奈留・・・・ああ、幹部の牧瀬奈留か。家を出るところでも見られたか。


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