†蝶龍†―2―
奈留は何かを知っている。
そうさっき確信した。暴走の時もどこか可笑しかったが、ようやく分かった。
奈留はあげはの居場所を知っている。祇桜由樹にそう言っていたからだ。
そしてさっきの表情。苦しそうな表情だった。
「奏、面子の三分の一が入院です。でも一ヶ月以内には退院できます」
「そうか。なら、こちらから仕掛ける。蝶龍は過去、1回しか仕掛けたことがないからな」
「そうですね。では戻りましょうか」
「僕戻ったら寝るねぇー」
「・・・・俺も」
「そうしろ。今日は休め」
「奏でもですからね」
「分かってる」
そんな会話をしながら車で倉庫まで戻っていった。
あげは・・・・・必ずお前の居場所、奈留から聞き出すからな。
そう静かに決心した。