†蝶龍†―2―

この雨の中、傘を差しながらその乱闘を見ている野次馬を押しのけ、乱闘の中心にいる人物に声をかける。


「水龍・・・・・置いて行くよ」


決して大きい声じゃなかった。それでも水龍こと、星はピタッと動きを止めてコチラをみた。


「あ、げは・・・・由樹・ど、うして?」

「どうして?じゃないよ。そいつ、誰?」


未だに胸倉を掴んでいる相手を見る。


「蝶龍の、幹部らしい」


そううな垂れながら言った。


蝶龍の幹部、ね。随分と弱いのね。


「お前、名前は?」

「か、ざま・・・」

「カザマ?よし、ケータイ借りるわ」


了承を得る前に身体を探りケータイを探す。

あ、有った。すぐに電話帳から
〝総長〟を探す。


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