†蝶龍†―2―
「それからしつこく付きまとわれて、10回目くらいだったかしら?もう諦めて蝶龍の倉庫へ行った。そこから全てが始まったの」
懐かしいわ・・・・・あの時が一番輝いていた。
「そっか。姉さん、なんで俺だけは手を出さなかった?姉さんなら家族であろうと、容赦ないだろ?」
「やっぱり、龍聖は分かってるのね。龍聖は私が来栖家に来た時、龍聖だけは同情や哀れみの目をしていなかった」
それだけで十分な理由になった。私は同情されるのが大っ嫌い。
「俺は、まだ小さかったから・・・」
「龍聖、それでもあげはは嬉しかったんだよ。今でもあげはが可哀想だとか思ってる?」
「ありえません。俺は姉さんが可哀想だなんて思わない。思える分けない」
由樹の言葉に力強く応えた龍聖。
ありがとう、私を慕ってくれて。