†蝶龍†―2―

「それからしつこく付きまとわれて、10回目くらいだったかしら?もう諦めて蝶龍の倉庫へ行った。そこから全てが始まったの」



懐かしいわ・・・・・あの時が一番輝いていた。


「そっか。姉さん、なんで俺だけは手を出さなかった?姉さんなら家族であろうと、容赦ないだろ?」


「やっぱり、龍聖は分かってるのね。龍聖は私が来栖家に来た時、龍聖だけは同情や哀れみの目をしていなかった」



それだけで十分な理由になった。私は同情されるのが大っ嫌い。


「俺は、まだ小さかったから・・・」

「龍聖、それでもあげはは嬉しかったんだよ。今でもあげはが可哀想だとか思ってる?」

「ありえません。俺は姉さんが可哀想だなんて思わない。思える分けない」



由樹の言葉に力強く応えた龍聖。


ありがとう、私を慕ってくれて。

< 87 / 160 >

この作品をシェア

pagetop