†蝶龍†―2―

ケータイを取り出し、すぐに家に連絡を入れる。


「・・・・・誰だ」

電話に出るなり低い声で問いかける組員。

『私よ。母様を呼んで』

「あ、あげは様失礼しました!!すぐに代わりますんで!!」


バタバタと走っていく音が聞こえる。


そういや、このケータイからは家にかけたことがなかった。


「はい、もしもしあげは?」

『あ、母様。はい、あげはです。今お時間よろしいですか?』

「ええ、大丈夫よ。家に貴女から電話を掛けるなんて珍しいわね」

『急用でして。処で、龍聖は今私と居るので大丈夫です』


そういうと、電話越しだけど、ほっと安堵する声が聞こえた。


『ですが、私はもう来栖には戻りません。お披露目までやっておいて今更ですが』

「・・・・・・それはなぜ故」




いきなり低い声になった。


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