†蝶龍†―2―

そして今、私は繁華街の裏路地にある潰れたゲームセンターの前にいる。


私がここに来るのは、二度目。忌々しい、あいつのアジトに。


恨めしそうにゲームセンターの入り口を睨みつける。


そしてゆっくりとその足を中へと進める。


中に入ると、沢山の男達がジッと私を見据えていた。


その内の一人、黒髪の爽やかそうな男が私の前に立ちふさがる。



「久しいね、あげは」


にっこりと、笑っていない目で挨拶してくるこの男。


「そうね、零(ゼロ)。あいつはどこ?私を呼び出しておいて」


「紫苑なら、いつもの部屋だよ。
それより、2年経ってより一層美しくなったね」


「どうも」


それだけ言うとスッと零の横を通って二階に上がっていく。


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