†蝶龍†―2―
カツンカツンと靴のヒールが鳴る音だけが響く異様な静けさ。
下から舐めまわすような品定めるような不愉快な視線が背中越しに伝わってくる。
・・・・・本当に、どこまでも不愉快。
2階に上がって右手の所に紫苑の花が置かれていた。
その花はまるでアイツの所へ導くかのように、並べられている。
紫苑の花言葉、『君を忘れない』
私だって忘れてない。
憎くて、殺したくて、でも出来なくて、どうしようもなく悔しくて。