窓下の愛想
正直
そこで僕らの関係は終わるのだと思った
それでも仕方ないとも思った
高まった自分の気持ちを
それ以上抑えつけておくことが出来なかった
平然を装い車を運転している僕
そんな僕の方に
キッと顔を向け
彼女は口を開いた
「なんか嬉しい」
…?
僕は耳を疑った
「えっ?」
思わず聞き返してしまった
「だから、嬉しいんだって」
小さく彼女は微笑むと
軽く深呼吸をして
再び口を開いた
「私も少し前から意識していたのかもしれない」
それでも結婚している彼女からは
そんなこと言えない
でも、彼女の性格のせいか
メアドを聞くなど
行動を起こさずにはいられない
そんなことが彼女の口から語られた
「本当に好きだった」
こうなると僕の気持ちは止まるはずもない
ハンドルを握る手を右手だけにして
離した左手を彼女の右手にのばした
触れた僕の手に彼女も指を絡ませてきた
そこからはしばらく沈黙が続いた
お互いにお互いの温もりを確かめ合っていた