窓下の愛想
笑顔

「ねえ、コーヒーまだ?」

あわててコーヒーを作る僕に

「何を考え事してるのさ」と

笑顔の彼女に一瞬見とれていると

彼女の携帯が流行りの歌を歌った

「旦那だ」

彼女は慌てて携帯をとり

メール画面を開いていた

……………………………

「携帯、どこの使ってるの?」

入社して1年が過ぎた頃

いつもの様に昼休みに喫煙室にいると

隣にしゃがんで煙草を吸う彼女が

唐突に聞いてきた

「なんで?」

彼女を薄々と女性として

意識しはじめてたせいもあってか

妙にドキドキしていると

それを知ってか知らずか

「同じだったらメールしやすいかなって」

ドキドキが一層増す

「俺とメールしたいの?」

何を聞いているんだ

そう思いながらさらに胸が高鳴る

「…したいよ。悪い?」

苦しさにも似た胸の高鳴り…

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