窓下の愛想

30分ほど走って

車は比較的大きな公園の

駐車場に着いた

休日などは家族連れなど

けっこう人の集まる公園だ

でも今日は平日

しかも夜7時過ぎ

人気は全くなく

誰にも見られてはまずい

ふたりには良い場所だ

なのだが

この雰囲気が

より一層、僕を緊張させる

何を話そう

頭の中が真っ白になりかけていた…

「…ぇ」

「ねぇ、聞いてる?」

その声に

僕の意識は彼方から戻って来た

「えっ、何?」

慌てる僕に

「会社で話すみたいにしていいんだよ」

私まで緊張しちゃう

と付け加え

彼女は微笑んだ

「ごめん」

彼女の笑みで

僕の心はすぅっと軽くなった

彼女を意識するあまり

自分らしさをなくしていた

彼女がどういうつもりで

僕を誘い出したかわからないが

彼女の中にいる僕は

こんな僕じゃない

彼女の微笑みで

我に返った僕は

ようやくいつもの調子で

話し始めることが出来た

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