魔女の幸せ
「あ……すみません!そこの方!」
ドアから飛び出したアリアは、近くを掃除していたメイドに近寄る。
メイドはちらっとアリアを見ると目を見開いた。
「あ!えっと、魔女のアリア様ですね?」
慌てたようにメイドは答えた。
「あの……私は具体的に何の仕事をしたらいいのかわからなくて…指示してくれる方とかいるんですかね?」
アリアが心配になりながら聞くと、メイドは「うーん」と考えた顔をした。
「宮殿専属魔女を提案されたのは、ウィル王子だと聞いております。
アリア様が到着されたのが昨日だと伝わってるでしょうから、ウィル王子のお付きの者が仕事部屋へ来ると思いますが…」
そこまでメイドが言うと、
「アリアさんでしょうか?」
と、男性の柔らかい声が後ろから響いた。