魔女の幸せ
失礼したのはアリアの方なのに、メイドは「失礼します」と答えて下がっていった。
振り返ると、物腰の良さそうな男性が立っていた。
着ている服の上品さから、王の近くで仕える者だとわかる。
「…魔女イザベラの弟子にして、本日から宮殿専属魔女となりました。アリアです」
お姫様やお嬢様の挨拶がわからないので、ぺこりと頭を下げる。
男性は柔らかく笑うと、
「ウィル王子の側近のロイドと申します。仕事内容の説明を致しますので、私について来てください」
と手短く挨拶をして、少し早めに歩き出した。
アリアは、小走りになりながらロイドの後をついて行く。
そして…使用人たちの部屋のドアとは比べ物にならないほど、
大きく頑丈そうで、板チョコのような立派なドアの前で足を止めた。