魔女の幸せ
宮殿の人たち
昼下がりの庭。
アリアは宮殿の前に広がるとても広い庭に足を運んでいた。
沢山の花と綺麗に敷き詰められた芝生の中心には、憩いの場と呼ばれる屋根の下にテーブルと椅子が並ぶ場所があった。
白に統一されており、そこからは360度見渡しても緑に囲まれていた。
アリアは椅子に腰を下ろすと、持ってきたハンカチをテーブルに広げた。
中にはアリアが調理場を借りて作ったクッキーが沢山入っていた。
周りを見渡したアリアが「初めて。魔女のアリアと言います。
妖精の皆さんにクッキー持ってきたので、お近づきの印にどうぞ」
と声を掛ければ、花木の影から妖精がちらほら現れる。
まずは、怖いもの知らずな妖精たちがクッキーを取り、口に含む。
その様子を見ていた臆病な妖精たちがちらほら現れて、恐る恐るクッキーを取る。
クッキーが安全だと知れば、次々とクッキーを取って食べ、
数分立たない内に、ハンカチの上は何もなくなってしまった。