魔女の幸せ



「このままでも充分なのに……私が専属になる意味は無いじゃないの…」


薬草の周りでおいかけっこをする妖精の子どもたちを目で追いながら、


宮殿の妖精の状況を知ってたはずのイザベラに向かい、
ボソッと呟いた。




まだアリアとイザベラの住んでいた家を囲む森の方が、
色々な妖精が集まっていた為、問題があっただろう。



「ハァ…」



アリアは、薬草を目の前にしゃがんだまま、ため息を付いた。





「あら、ため息なんて付いちゃって…幸せが逃げるわよ?」


弾んだ声がして、目を左に動かすと、薬草の上に座っている妖精が1人。

中年のおばさんの様な容姿をした彼女は、とても世話焼きで、妖精たちのお母さん的な存在だ。

薬草の世話も先頭をきってやってくれ、
お喋り好きなので、アリアとも色々な話をしてくれる。






 
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