魔女の幸せ
ジュリーはレースの入った扇子で目より下を隠しているが、
ドレスや装飾品、上半分の顔、艶やかな髪の毛、オーラ……乙女たちが憧れるお姫様だと言うことを充分に示している。
それは、アリアと正反対と示しているのに等しい事だ。
間近で見た『お姫様』に見とれているアリアに、ジュリーは眉を吊り上げた。
「あなた、私が誰だか分かっていて座り込んでいますの?
それとも、その見すぼらしい顔とドレスと一緒で、頭まで見すぼらしいのかしら?」
ウィルと一緒に居た時の態度からは想像できない鋭い視線と口調で言われ、アリアは素早く立ち上がった。
筋肉痛が…など、ジュリーの態度により頭の片隅へ行ってしまった。
「申し訳御座いません。最近まで森で気ままに暮らして居ました故、城での礼儀にまだまだ至らない点が多いもので…」