魔女の幸せ


アリアは決して、ジュリーの身分や態度が怖い訳じゃない。

自分に対してもっと酷い事を言われても、アリアは泣く事も媚びる事も無いだろう。


しかし、今この城でアリアの雇い人は王子のウィルだ。



以前、アリアの言葉を信じて自分には見えない妖精の存在を受け止めてくれたウィル。


そんなウィルの名誉を傷付ける事はしたくなかった。


アリアの態度のせいで、ジュリーや周りからウィルを悪く言われたくない。


そんな思いからアリアは、ジュリーへなるべく丁寧な言葉で謝りを告げた。



ジュリーはアリアの言葉に鼻で笑うと、口元を隠していた扇子をパチンと閉じた。




「まあ…田舎者が遙々この城に?溝掃除係にしても大出世じゃなくて?
では、そんな貴女に私から仕事を命じましょう」


トゲがあり、世間では失礼とされる言葉を、身分の高さから使うジュリーに、アリアではなくアリアの近くに居る妖精たちが腹を立てていた。




 
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