魔女の幸せ
宮殿は街から北へ登った丘の上に立っている。
王宮が用意した馬車に乗って、アリアは近づく大きな城を見た。
イザベラの師匠命令から一週間後…今日から、アリアは城の中で暮らす。
イザベラの持っていたあの手紙はお城からの手紙だった。
フッと一週間前のやり取りを思い出す。
「イザベラ!どういう事!?」
アリアは驚きから、目をまん丸にしながら聞く。
「宮殿はね、国の心臓。その心臓を守る為に、警備を強化するのは勿論、まじないやお守りなんかもしてきてるの。
だから昔から宮殿は、私たち悪魔と契約してない魔女を頼って来たわけだ。私だって国王の頼みで薬やお守りを作る事があるの」
…………知らなかった。
「そしてこの度、宮殿の専属係に魔女も組み込んで、住み込みで仕事をするように手紙が来たわけだ……」