西の塔に酉
「察するに――」ケヴィンは気を取り直して、きつく目を細める。「――ロヴィーサ王女への求婚かと。しかし、ラディナ大国には現在、相応しい殿下はおわしますまい」
「いかにも」
「では、一体、どのような要件であのような献上品を……」
アロワと名乗った使者はにこりと微笑んだ。
「国王陛下にお目通りかなうための、単なる目くらましでございます」
「な……!」
ケヴィンは絶句する。国王はすでに聞いていたのか、ただ、ため息をついて目頭を揉む。
「そ、それは一体どういう……」
「ご安心なさいませ。我らが従えてきた財宝は、すべてラディナ王室お墨付きの価値ある品々でございます。しかしながら、それらは献上品ではございません。前金にて」
「前金……だと……?」
「アムーニアという国をいただくための」
「アムーニアを買収するというのか!」
声を荒げるケヴィンをアロワは、小さく鼻で笑う。
「感謝はされても、文句を言われる筋合いはないというものです。
我が王はおうせでした。『いくら領土が欲しくとも、美しきヴィローサ姫のおわす国を打ち滅ぼすのは忍びない』と」
「いかにも」
「では、一体、どのような要件であのような献上品を……」
アロワと名乗った使者はにこりと微笑んだ。
「国王陛下にお目通りかなうための、単なる目くらましでございます」
「な……!」
ケヴィンは絶句する。国王はすでに聞いていたのか、ただ、ため息をついて目頭を揉む。
「そ、それは一体どういう……」
「ご安心なさいませ。我らが従えてきた財宝は、すべてラディナ王室お墨付きの価値ある品々でございます。しかしながら、それらは献上品ではございません。前金にて」
「前金……だと……?」
「アムーニアという国をいただくための」
「アムーニアを買収するというのか!」
声を荒げるケヴィンをアロワは、小さく鼻で笑う。
「感謝はされても、文句を言われる筋合いはないというものです。
我が王はおうせでした。『いくら領土が欲しくとも、美しきヴィローサ姫のおわす国を打ち滅ぼすのは忍びない』と」