Vrai Amour~美空の場合~
1.誘惑の放課後
「美空<<ミア>>」
耳元で低く甘く響く声。
私は危うく握っていた筆を取り落としそうになってしまった。
放課後の美術室。
差し込む日が白いカーテン越しに温かい日差しをくれる。
あと1時間もすれば闇に包まれてしまうであろう照明を落としたままの教室。
ふわりと香るその匂い。
体の芯まで痺れるようなその声の持ち主に顔をあげる。
今ではもう声だけでもわかる。
「・・・って、きれいな名前だね、桐島さん」
それはこの時期には珍しく転任してきた美術講師・柏木斗真<<トウマ>>先生だった。
「ああ、ここだけど・・・」
そう言って私の絵の一部を指差す先生の左手の薬指には結婚指輪はない。
うわさでは前にいた学校で女子生徒と関係を持ってしまい
それが学校にも奥さんにもバレて離婚して転任してきたんではないかという話だけど・・・
耳元で低く甘く響く声。
私は危うく握っていた筆を取り落としそうになってしまった。
放課後の美術室。
差し込む日が白いカーテン越しに温かい日差しをくれる。
あと1時間もすれば闇に包まれてしまうであろう照明を落としたままの教室。
ふわりと香るその匂い。
体の芯まで痺れるようなその声の持ち主に顔をあげる。
今ではもう声だけでもわかる。
「・・・って、きれいな名前だね、桐島さん」
それはこの時期には珍しく転任してきた美術講師・柏木斗真<<トウマ>>先生だった。
「ああ、ここだけど・・・」
そう言って私の絵の一部を指差す先生の左手の薬指には結婚指輪はない。
うわさでは前にいた学校で女子生徒と関係を持ってしまい
それが学校にも奥さんにもバレて離婚して転任してきたんではないかという話だけど・・・
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