Vrai Amour~美空の場合~
「・・・ん・・・」

不意に目が覚めた。

気がつけば私を抱きしめていた腕がなくなっている。

「起きたの?」

少し身体を起こすと、背中のほうから先生の声が聞こえた。

「・・・先生、何、してるの?」

「んー?」

先生はバスローブ姿でソファーに深く腰掛けていた。

「・・・お酒?」

私は肩にかけられていたシーツを身体に巻くと先生のところに歩いていった。

「・・・美空はまだだめだよ」

「なんで?私、未成年じゃないですよ」

「お酒弱そうだし、意識のない子を抱くのは趣味じゃないからね」

そう言って隣に座った私のシーツをつんつんと引っ張った。

「一口だけ・・・」

そう言ってお願いすると、先生は軽く息を吐いてから私を見つめた。

「・・・こぼしちゃだめだよ」

先生は手にもったグラスのワインを口に含む。

すっと反対の手が私のあごを捕らえ、上向きにされるとすかさず唇が重なった。
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