Vrai Amour~美空の場合~
「・・・僕のウワサ、知ってる?」




先生はそう言いながら、私の口をふさいでいた指先で私の唇をなぞった。



ぞくり


その感触に体が震える。

そういう経験のない私は、どうしていいかわからずにただ真っ赤になったまま先生の顔を見つめた。



「・・・その顔は男を知らない顔だね」

先生の瞳が細く微笑む。





私は姉たちとは違って一人で絵を描いているのが好きな子供だった。

服装も地味だし、男の人とお付き合いだってしたことがない。

片思いの恋はあるけど、大人の恋は・・・




まだ、知らない。
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