Vrai Amour~美空の場合~
「挙式は春よ。結婚したら大学も辞めてもらいますからね」
お母さんは当然のようにそう言い放った。
「それまでに何かあったら、お相手の方にも何かしら手を下すことになりますからね」
にっこりと微笑むお母さんの笑顔。
正直、お母さんはずっと苦手だった。
お父さんが亡くなってから、この家を守り女でひとつで私たちを育ててくれたけれど
お母さん、というよりは、一人の女という感じで
どうにも近寄りがたい雰囲気があった。
それに、秋緒さんのあの香り・・・・
あれは・・・
お母さんの香水・・・