Vrai Amour~美空の場合~
4.招待状
次の日から先生は消えた。

校内の掲示板には一身上の都合により、としか記されていない。

どこに行ってしまったのか。

なぜ消えるようにいなくなったのか。

私にはわからないまま。

ただ身体の奥に残る先生のぬくもりだけが変わらずに私をあたためてくれている。






そして1ヵ月後、私も大学を辞めた。

秋緒さんとの結婚の準備のため、という名義ではあったけど先生がいなくなった大学はなんだか味気なかった。

今はただ毎日、先生との思い出を抽象的に絵で表現するだけ。

誰に見せるためでもない、ただ忘れないために絵を描いている。

涙も出ない。

先生がいなくなったあの日から、私の心はなくなってしまった。

気がつけば、明日は結婚披露宴。

もう私は私でなくなるのだから、どうでも良かった。

家にずっといるようになってから気がついてしまった。

この結婚の本当の意味を・・・・

私は代理でしかない、ということに。
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