Vrai Amour~美空の場合~
「・・・お母さん・・・」

ぶち壊してしまおうという気すら起きなかった。

むしろ、安心した。

私、秋緒さんのこと無理に好きにならなくてもいいんだって。

先生のこと好きなままでもいいんだって。









「お嬢様、お手紙が届いていましたよ」

披露宴の朝、支度をしていると執事の朝比奈さんが白い封筒を差し出した。

差出人の名前は書いていない。

ひっくり返してみたら、住所すら書いていない。

書いてあるのは「美空へ」という3文字だけ。

「これ・・・誰かほかの人に見せた?」

「いえ、美空お嬢様のお名前だったのでほかには誰も・・・」

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