Vrai Amour~美空の場合~
「・・・・ふふっ」

タクシーの後部座席に体を沈めると、なぜか笑いがこみ上げてくる。

「何?突然」

「・・・まさか、先生がこんなことするなんて」

しかも、私もこんなことするなんて・・・

今までの私だったら考えられなかった。

「・・・仕方ないだろ。いろいろ大変だったんだ」

全部聞かなくてもなんとなくわかる。

「・・・許してくれる?」

「許すも何も・・・」

先生はお母さんに脅されていただけ。

「許してくれるなら、キスして。美空」

くいっとあごを上に向かされ、ゆっくりと先生が顔を近づける。
< 56 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop