Vrai Amour~美空の場合~
「・・・本当は大学からのつきあいよ」

「え!?」

「あの頃はお互いいろいろあって、あまり話せなかったから・・・」

申し訳なさそうに俯く美桜に、いろいろな想いが駆け巡る。

「あ。そういえば恵はどう?」

恵(メグル)は、うちの唯一の男子。

4つ年下の長男で、私と入れ違いでフランスでの修行から日本に帰った弟。

うちはフランス料理をメインにスイーツやチョコレート、他にも関連したお店をたくさん経営している。

その中のパティシエとして働くため、恵はフランスで一人修行をしていたのだ。

「今、若い子の間で超人気店になりつつあるわよ」

はい、と差し出されたスイーツ特集が載っている女性誌。

付箋のあるページを開くと、大きく恵の写真が載っていた。

「それと、これ」

不意に差し出された封筒は、宛名すら書いていない。

「・・・何?」

ゆっくりと封を切って、中身を取り出す。

真っ白な封筒に、真っ白なカード

開いてみて、意外な名前にびっくりした。
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