Vrai Amour~美空の場合~
「んもう、今日こそデートしてもらおうと思ってたのに!!」
そんな女の子の怒ったような声がゆっくりと遠ざかる。
「・・・っはぁ・・」
女の子が立ち去ってしばらくするとようやく先生は私を解放してくれた。
「・・・そんな顔して・・・」
先生はぐいっと親指で私の唇を拭う。
「・・・え・・・」
私は夢見心地な状態で先生を見つめた。
「・・・そんなに僕に食べられたいの?」
優しかったはずの先生の瞳がまっすぐに私を捕らえる。
それはさっきまでの顔とは全然違って、まるで獲物を狩る猛獣のようにするどい。
私はますます動けなくなった。