男友達

お互いに気づいたこと


 シャワーを浴びて、寝る準備をする。髪を乾かしながら今日の事を思い返して

いた。

 卓也の彼女に言われた言葉。

 好き。の二文字。


 私、卓也のこと好きなんだ。そっか。好きなんだ。


 これですべてつじつまが合う。


 まるで他人事のように考えながら、ベッドに入った。

 
 今日は妙に疲れた。目を閉じると、すぐに眠りについた。



 ピンポーン

 ピンポンピンポンピンポーン


 え?何事?

 起き上がり玄関を開けると、卓也が立っている。

 
 「何してんの?」

 
 「何って。恒例の深夜の訪問だよ。」


 「飲んでるの?」


 「ちょっとね。」


 前みたく、ずかずかと上り込んでくる。手にはコンビニの袋。

 
 「なんかさ。変なんだよ。気になってさ。なんだろね、これ。」


 「?」

 
 「今日、電話かけてきたやついるじゃん。」


 「あ、後輩のこと?」


 「そう。」


 「どうにもこうにも気になってさ。聞こうと思ったけど、きけなくて、さっ

き。でも、聞かないと気になって。変なんだよ。」


 「うん。変だよ?大丈夫?」


 「あんまり大丈夫じゃないかも。あーもう!そいつとやったの?」


 「何を?」


 「何をって、男と女がやるっていったらひとつしかないでしょ。で、

やったの?やってないの?」


 「い、1回だけ…。」


 パンッ!


 ポテチの袋をたたき破り、バリバリと食べだした。


 「あの、いっぱい落としてるよ?」


 「あ?え?ゴメン。ってか、なんでやるの?付き合ってないんでしょ?」


 「なんで卓也にそんなこと言われなきゃいけないの?」


 ちょっとムッとした。


 「あ?嫌だからじゃね?」


 「何?その他人事。え?」


 嫌?なんで?ちょっと動揺した。


 ポテチを放り出し、つかつかと歩みより、ぐっと抱きしめられる。


 「ちょ、ちょっと?」


 何秒そのままでいただろう。短かったのか長かったのがわからない。

 そのまま唇が重なる。

 
 「こんなこともしたの?」


 そう言いながら、卓也はちょっと乱暴に私を抱いた。
 
 
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