君のこと。
「ゆーずっ」
「きゃ!」
いきなり後ろから抱きつかれたと思えば、それは同じクラスで書道部の宮沢珠洲だった。
「珠洲。なあに?」
「なあに、じゃないっつの!どうしたのよ、急に海原と仲良くなって」
「別に・・・朝、ちょっと話しただけだし」
「ふーん?本当かなあ」
珠洲はにやにやしながらその場を立ち去ってしまった。
「な、なんだったんだ・・・」
私はそのまま力が入らなくなってしまい、このとき初めて私の顔が熱いことに気がついた。
「・・・熱。これ、何・・・嘘、もしかして」
そう考えると急に体全体が火を噴くような熱さになり、痺れて動けなくなってしまった。呆然と立ち尽くしているとバレー部のボールが頭に直撃し、私はそのまま倒れこんでしまった。
「!?おいっ、楠!」
その声はとても高く、女の子のようだった。
(誰・・・?)心の中でそうつぶやくが、体の重さ、だるさ、そして急な衝撃に体が耐えられず、意識が朦朧としてしまう。
「ん・・・」
「楠!大丈夫かよ!?てかこんくらいで倒れんなよーっ!」
とても高い声なのに、ぶっきらぼうな口調。誰だろう。ぼんやりと見えるその体は、とても小さくやはり女の子にしか見えなかった。ただひとつ気になるのは、男子用のジャージを着ていた事。何部の演出だろう。男子のジャージを着て、い一体何をするのだろう。そんなことを考えていると、さらに意識が朦朧とし、対には重くなったその瞼を閉じてしまった。



「楠!おい!くすの――」
「んん・・・」
耳元で響く大きな音に、私は目を開ける。
「・・・楠!」
「海原・・・くん?」
目をこすると、そこには海原くんが心配そうな顔をして私を見つめていた。
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