悪女の恋〜偽りの結婚〜
 思えば、結衣からメールや電話が来た事は一度もない。俺からも滅多にしないのだが。


 あいつ、俺に愛想を尽かしたのかな。だから浮気してんのかな。


 そりゃあ、そうだよな。


 俺は、今までして来た結衣への仕打ちのあれやこれやを思い返した。


 そして、結衣が俺に愛想を尽かすのは当然だと思った。むしろ実家に逃げ帰らず、不平不満を一言も言った事がない結衣が不思議に思えた。


 と言っても、俺の目をかすめ、他の男と浮気して鬱憤を晴らしてるんだろうから、したたかな女ではあるけどな。


 携帯をテーブルの上に放り投げたところで、遥が風呂から戻って来た。ホテルに備え付けの、安っぽいガウンをまとって。


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