悪女の恋〜偽りの結婚〜
 週が明けて会社に出社した俺は、先週のようにイライラする事はなくなったものの、仕事が手に着かない事に変わりはなかった。

 仕事はおろか、何もする気になれず、出るのはため息だけだった。


「三島、機嫌は直ったようだな?」


「あ? まあな……」


 こんな扱いにくい俺なのに、片岡だけは俺に話し掛けてくる。

 ほっといてくれればいいものを、とも思うが、片岡なりに俺を心配してくれてるんだろうな。


「何だよ、三島。元気ねえじゃねえか?」


「そうか?」


「そうか、って……。奥さんと仲直りしたんじゃねえのかよ?」


「はあ?」


< 120 / 175 >

この作品をシェア

pagetop