悪女の恋〜偽りの結婚〜
「さあ、乗って?」
扉が閉まらないよう手で抑えながらそう言うと、
「あ、ごめんなさい」
そう言って、中山春はおどおどした様子でエレベーターに乗り込んだ。さっきまでの毅然とした彼女とは、まるで別人のようだ。ひどく動揺したような様子。しかし、なぜだ……?
中山春は今にも泣き出しそうな顔で俺を見ている。いったい何だってんだよ……
俺は重役達のいる最上階のボタンを押し、閉まるボタンを押した。
エレベータには俺と中山春の二人だけ。扉が閉まると、途端に彼女が付けてるらしい甘い香水の匂いが充満した。そう言えば、結衣も前は香水の匂いをプンプンさせていたっけ。しかしいつからか、シャンプーやボディソープの匂いしかしなくなったんだよな。
しかし、そんな匂いが俺は好きだった。いや、そんな匂いがする結衣が、俺は好きだったと言うべきか……
そんな想いに浸っていたら、
「三島さん……」
中山春の、蚊の鳴くような声がした。
扉が閉まらないよう手で抑えながらそう言うと、
「あ、ごめんなさい」
そう言って、中山春はおどおどした様子でエレベーターに乗り込んだ。さっきまでの毅然とした彼女とは、まるで別人のようだ。ひどく動揺したような様子。しかし、なぜだ……?
中山春は今にも泣き出しそうな顔で俺を見ている。いったい何だってんだよ……
俺は重役達のいる最上階のボタンを押し、閉まるボタンを押した。
エレベータには俺と中山春の二人だけ。扉が閉まると、途端に彼女が付けてるらしい甘い香水の匂いが充満した。そう言えば、結衣も前は香水の匂いをプンプンさせていたっけ。しかしいつからか、シャンプーやボディソープの匂いしかしなくなったんだよな。
しかし、そんな匂いが俺は好きだった。いや、そんな匂いがする結衣が、俺は好きだったと言うべきか……
そんな想いに浸っていたら、
「三島さん……」
中山春の、蚊の鳴くような声がした。