悪女の恋〜偽りの結婚〜
 驚いたような戸惑うような、そんな色をした大きい目で見られた俺は、どういうリアクションをしていいか分からず、強引に結衣の体を胸に引き寄せた。


 結衣の体は小刻みに震えていた。おそらくローマでの初夜の苦痛を思い出し、怖がっているのだろう。


 「痛くしないから、いいだろ?」


 そう言うと、結衣は俺の胸の中で小さく頷き、俺の背中に腕を回してしがみ付いてきた。


 今度は少し念入りに愛撫し、結衣の口から甘い吐息が漏れるようになってから、俺は結衣の火照った柔らかい体に自分の体を沈めていった。


 これはこの女を悦ばせるためにしているんじゃない。単なる性欲処理に過ぎないんだ。そう自分に言い聞かせながら……


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